武田軍小話01



〔武田軍:子孫、目撃編〕


「旦那ぁ〜」

ったく、人に団子買いに行かせておいて何処行ったんだか。

佐助は幸村を探して城内を歩いていた。

その時、ふと感じた事のない気配を感じて佐助は立ち止まり、前方を見つめた。

「………は?」

間抜けな声を出し、佐助は我が目を疑った。

だって、天孤仮面が普通に前方からスタスタと歩いてきて信玄の部屋へとこれまた普通に入って行ったのだ。

「俺様疲れてんのかな。幻覚が見える…」

おっかしいな。

天孤仮面は武田式修行道場(別名:武田漢祭り)が開かれた時に現れる、狐の面を被った人間。

幸村には佐助の友人として認識されているがその正体は何を隠そう猿飛 佐助その人、のはず。

旦那に休暇申請でもしようかな…。

「おぉ!佐助、帰ったか」

「あ、旦那」

遠い目をしていると天孤仮面がやって来たのと同じ方向から幸村がやって来た。

「つい先程お主の友人、天孤仮面殿にお会いしたぞ」

「へぇ〜。何か言ってた?」

あれは見間違えじゃなかったのか。でもそれなら誰だ?

「うむ。天孤仮面殿は御友人と一緒に居られてな、某その御友人殿に握手を求められたでござる」

「天孤仮面の友人?」

ますます謎が増えた、と佐助は眉を寄せた。

「おかめ仮面殿と言ってな、お館様のお客人で昨日からこの城に滞在しているそうでござる」

お館様の客人ってことは少なくとも危ない人間ではないのか?

後でどういうことか聞きに行こ。

それにしても信じちゃったのね旦那。



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